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MEMOMEMO

短文散文とかうっかり萌えた別ジャンルとか管理人の電波とかをひっそりこっそり。

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2025/04/29 (Tue) -

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やとひじ

2014/09/29 (Mon) - 未選択

44号ネタバレかもしれない捏造妄想モブ夜兎×土方
本番ありませんが凌辱風味注意。賞味期限は来週まで。つじつまなんで知らない
そらち先生いつも生きる糧をありがとうございます

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 頭が、痛い。後頭部からこめかみまでが疼くように鈍く痛んで、頭の中でぐわんぐわんと鐘が鳴っているようだ。それに何故だか体がふわふわ浮いて、水の中で揺れているような感覚がする。
 安い酒を思い切り煽った翌日にも似た不快感に、土方は重い瞳を閉じたまま無意識に眉根を潜めた。
 次第に浮上していく意識の中で、誰かの話す雑音のような声が徐々に聞こえてくる。
 ここはどこで、自分は何をしていたのだろう。また、組の宴会で羽目を外し過ぎてしまったのだろうか。
 だが、遠く聞こえる声は、近藤や仲間達のものにしてはいやにしゃがれ、下衆を帯びているようで、肺腑の不快感がいや増した。
「……う、ぐ」
 小さな呻きが零れるとともに、瞼がピクリと痙攣し、ゆっくりと持ち上げる。焦点の合わない瞳が二度、三度と瞬いて、輪郭を構成し。
「おい、忠臣殿のお目覚めだぜ」
 そして、突如頭上からはっきり響いた嘲る声に、土方の意識は電流に打たれたように覚醒した。
「ッ!ア、ガッ!?」
 考えるより早く飛び起きようとするも、刹那後頭部に疾走った激痛に堪らず再び蹲る。
 文字通り頭が割れるような痛みに、咄嗟に手をやろうとして―――…そこでようやく土方は気が付いた。
 自分の両腕が、背後できつく戒められていることに。
 そして、身体を横たえられている冷たい床の感触と、舐るような視線で己を見やり嘲笑う、番傘を携えた幾人もの男達の存在に。
「あ―――…」
 刹那、途切れていた記憶が津波のように土方の脳内へ流れ込む。そうだ、自分は将軍警護の任につき、忍の里で番傘を振るうこの男達と、夜兎と戦って、そして。
 そしてどうしたのだ、と思った瞬間、全身の血液が凍りついた。
 覚えて、いない。あれから戦況が、将軍が、近藤や子供達やあの男がどうなったのか、どれだけ思い出そうとしても辿れない。己の記憶は、あの男と背合わせで共闘し、刀を振るっている途中でプツリと途切れている。
 最後に覚えているのは、狂乱の戦場で敵の只中に飛び込み、数人の夜兎に一斉に襲いかかられ、殺人的な膂力で吹き飛ばされたときまでだ。
 強か岩に身体を打ち付け、ぐらりと世界が遠ざかった刹那、自分の名を呼ぶ男の声を聞いた気がした、それが最後だ。
 そして今、己は自由を奪われ、宇宙船と思しき空間に囚われている。目の前には、破落戸のように寛ぐ夜兎たちの下卑た笑み。血の伝う頭をどうにかもたげ見回した周囲に、仲間の姿はない。
 ことここに至って、己の状況を正しく理解出来ないほど、土方は愚鈍にも楽観にもなれなかった。
 自分は、敵陣に捕らわれたのだ。
「どうしたどうした?あれだけイキの良かったもんがぐったりしちまって」
 血ィ流しすぎたかぁ?と、獲物を甚振る獣のように牙を剥き出しながら、一人の男が近づいてくる。その足音に思わず四肢を跳ねさせれば、男は土方の眼前でしゃがみ込み、流血に何ら構うことなくぐいと土方の前髪を掴み、引き上げた。
「あ、ぐっ……ッ!」
 初めに不覚を取った傷口がズキリと響き、無理な体勢に背骨が軋む。だが、それでも歯を食いしばり男を射殺さんばかりに睨み付ければ、宇宙最強と名高い戦闘種族はヒュウ、と楽しげに笛を吹いた。
「安心しろよ犬ッコロ。お前の大事なご主人様は残念ながら健在だ。頭が気に入ってる銀髪の侍がどうにも滅法しぶとくてなぁ。それでも、あと数分闘ってりゃ間違いなく俺らの勝ちだったってのに、あと一歩で撤退命令と来たもんよ」
 貧乏くじもいいとこだ、と男が嘲笑う。だがその表情には、目的を仕損じた悔恨も、仲間を失った憐憫も微塵も浮かんでいなかった。
 あるのはただ、捕らえた得物を甚振るのが楽しくて堪らない、飢えた獣の狂った瞳。
 本能的な恐怖がゾワリと背筋を這い上がる。だが次の瞬間には、土方は内診の怖気を振り払うように一際激しく男をねめつけていた。
 同時に、早鐘を打つ胸中で必死に思考を巡らせる。
 撤退命令、と今この男は言った。それが事実なら、少なくとも将軍は無事だということだ。それにおそらく、否絶対に、近藤たちも、里の忍達も生きている。下手を打ったのは自分一人。自分、一人だ。
 そう自身に言い聞かせれば、早鐘のように打っていた心音が幾らか落ち着いたような心地がした。落ち着かなければならないと思った。
 気を失う直前聞いたあの声を、思い出してはならない。侍の矜持にかけて、これ以上の無様は晒さない。戦いのさなか、背を預け合ったあの男に、死んでも助けは求めない。
 例えこれから、どれほどの苦しみと屈辱を味わうとしても、自分は耐えて好機を伺い、地球に戻る。絶対に。
「……やっぱいいねぇ、その血走った目。腑抜けた地球人たぁ思えねぇ。アンタの闘う姿とそのお綺麗な面ァ見て思わず勃ちまったから攫ってみたが、こいつぁ期待以上だ。この状況で泣き喚きもしねぇなんざ、最っ高だ。最高に―――…甚振り甲斐のある得物だよ」
 男の台詞に呼応するように、男の背後から幾つもの足音が近づいてくる。饗宴が始まる直前の狂った熱が、肌蹴た着物越しに土方の四肢へと絡み付く。
「地球人ってのは何だってそんな布切れみてぇな服を着てるもんだかと思ってたが……なるほどこりゃあ、悪くねぇな」
 色を帯びた男の視線が、肌蹴た羽織りと着流しの袷から露わになった白い胸元を嬲るように見下ろし嗤う。
 
 天人とはいえ、外見のほぼ変わらぬ夜兎に地球人の性別の違いが分からないとは思えない。だが、自分より二回りは大柄な男からみれば、成人とはいえ細身の部類に入る土方など、さして女と変わらず映るのかもしれない。
 滴るような赤い舌で唇を濡らし、土方の頬を怖気が疾走るほど優しい仕草で撫でた男の股間が激しく昂ぶっているのを見てとって、土方はこれから始まるだろう『拷問』を確信した。
 刹那、今度こそ全身に鳥肌が立ち、身体の芯が冷えていく。
 生物として、雄としての本能が、種としての決定的な差を告げている。恐ろしいと訴えている。アレは、自分の知っている男のモノとは根本的に違うものだ。あの男とは違うものだ。けれど。
「―――…はっ」
 ともすれば叫びだしたくなる衝動を抑えつけ、土方は口の端を吊り上げた。
「やってみろや下衆野郎。ただしこちとら生憎、どっかの万年発情期のお蔭でソッチの方は頑丈でな」
 粗末なモンは食い千切っちまうから気ィつけろ、と。

 滑稽な程愚かな矜持の言葉が震えなかったことに安堵して、土方は脳裏に過ぎった銀色の姿を、声を、胸の奥深くへと押しやった。










いつもごめんね十四郎!!
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