MEMOMEMO短文散文とかうっかり萌えた別ジャンルとか管理人の電波とかをひっそりこっそり。 [PR]× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 君に届け【銀魂】
毎度おなじみ幕土前提銀土。 ------------------ 「好きだ」 と、死んだ魚のような瞳を煌めかせ告白した男の言葉は、しかし俺の心に何の漣も立てなかった。 ただ、ああこいつもかと、なんの新鮮味もなく考えた。 この容姿のせいで、昔から野郎に言い寄られるのは慣れていたし、江戸に出て、その対象が城の偉いさんになってからは、チンピラのように伸してしまうわけにもいかず(幕府の権力者にコネを作るのは真選組にとっても悪い話ではなかったので)既に何度も抱かれている。 だから今更男にそう告げられても、別に歓喜も嫌悪も沸かなかった。 散々っぱらいがみ合っていたこの男が俺をそういう目で見ていたことは意外だったが、まぁそれもどうでもいい。 男は所詮脳と下半身が別のイキモノだ。理性では気に食わない相手でも、股間のセンサーが反応するなにかがあったんだろう。 好きだなんて言葉は、俺にとってはなんの意味もない。 俺を物みたいに好き勝手扱う変態連中にも、事の最中好きだの愛してるだのと抜かす奴はいるけれど、所詮はただの戯れ言だ。手足に跡がつくほどきつく縛り上げて、訳のわからない玩具を前や後ろに突っ込んで。死にそうに苦しくて悲鳴をあげれば、更に興奮して酷く扱う。 それが「好きだ」ということならば、そんなものはドブに叩き捨ててやる。 だからきっとこいつも、俺を抱きたいだけなんだろう。 別にそれ自体は構わないが、俺がこいつに抱かれたとして、何かメリットはあるだろうかと、目の前で固唾を飲んで返事を待っている男を、頭のてっぺんから爪先まで検分するようにねめつけた。 幕臣じゃないし、資金的な援助を頼めるような金持ちの商人でもない。その時点で、『副長』としてこの男に利用価値はない。 あ、でもこいつ、確か割と有名な元攘夷浪士で、桂や高杉とも面識あんだっけ。なら、情報源という意味では、多少期待できるかもしれねぇな。 まぁ、仮にも昔の仲間をそう簡単に売る男には見えないが。 じゃあ次、『土方十四郎』としてはどうだろう。 まず第一に、こいつは若い。自堕落を具現化したような生活を送っているくせ、体も引き締まってるし、よく見ると実はそこそこ男前だ。加齢臭漂うオッサンやジジイ、わけわかんねぇ天人とは違って、至近距離でも十分観賞に耐えうるだろう。 断っておくが、俺は断じてホモではない。が、前述した通り、男というのは脳と下半身が別のイキモノだったりするわけで。つまり、変態ジジイ共にイロイロ開発されてしまった躯は、俺の意思とは無関係に、時折無性にその淫靡な快楽を欲してしまうのだ。 だが、ろくな抱き方をしない、生理的には耐え難いオッサンに自分からねだるなんざ死んでも御免だし、かといってそれなりに顔の売れている俺がハッテンバで男漁りをするわけにもいかなくて。 結果、その衝動にかられたときは専ら自家発電で凌いでいるが、自分で自分のケツを弄って達した後の虚しさに惨めさと言ったら、中々に筆舌に尽くしがたい。 だが、そんなときこの男がいればどうだろう。 すぐ近くに住んでいるし、いつも暇そうだから大抵都合はつくだろうし、万事屋なんて営んでいる以上口もそれなりに固そうだし……ああ、結構いいんじゃねぇか? とは言え、無論こいつがそれなりのテクを持ってることが必要不可欠だが。 それを確認するには、まず一度寝てみるのが手っ取り早い。 そこで俺は、かれこれ数分の沈黙を打ち破り、万事屋に告げたみた。 「分かった、付き合ってやってもいい。ただし初めに言っとくが、城のジジイだゲテモンみてぇな天人だの手垢がついた身体だぞ。わけのわかんねぇ感染症にかかってるかもしれねぇし、てめぇと付き合ったからってそいつらを切れるわけじゃねぇ。それでもいいなら好きにしろや」 念のため言っておくが、俺は親切心のつもりで言ってやったのだ。一応定期的に検診は受けているが、それでも絶対に大丈夫とは言い切れないし、もし何かの病気にかかっていて、それを感染してしまったら、流石にこいつが気の毒だし。 あと、他の連中との共有品だと言うことも念のため釘を刺しておいた方がいいだろうと思った。独占欲の強い男には到底見えないが、それでもあとからグチグチ言われるのは真っ平御免だ。 なのに、俺が親切めいて教えてやったら、こいつは驚いたように目を見開いて。 そして、何故だか酷く痛そうな、辛そうな顔を、一瞬だけ見せてから、それでもいいよと少し笑って頷いた。 ……なんだ、今の。なんでてめーに、んな面されなきゃなんねーんだ。 一丁前に同情でもして、義侠心見せたつもりか? どうせてめーも、あいつらと同じ穴の狢のくせに。 そんな顔して見せたって、どうせ俺を組み敷いたら好き勝手するんだろう?物みてーに扱うんだろう? 「……なぁ、土方。俺はお前が好きだよ。なんで惚れたのかわかんねーけど、本気で好きなんだ。だから、お前の『仕事』に口は出さない。お前が納得してやってることなら、それでもいい。ただ……っおわっ!?」 グダグダと、何かつまらないことをほざいている男の襟首をひっつかみ、引き摺って歩き出す。 そうしている間も、やはりこいつは何やら喚いているようだったが、右から左へ抜けていった。 好きだの愛してるだの、そんなものどれだけ寄越されたって、何も感じない。 こいつは俺を抱きたい。俺はこいつを利用したい。俺達の間にあるのはただそれだけで、大切なのは躯の相性だ。それ以外に必要なものなんてない。 つきあってもいいとは言ったが、一度試して下手くそだったらすぐに捨ててやろう。苛立ち紛れにそう思って、俺はこいつを手近なホテルへと引っ張り込んでベッドの上へと押し倒した。 あ、なんか体勢違うな。まぁいいか、どうせすぐに逆転するし。 「おら、抱けよ。ただし、俺を満足させられなかったら次はねぇぜ?」 精々気合い入れて頑張るこったと口の端を吊り上げ、眼下の男を挑発するようにねめつける。 すれば、すぐに本性を表すかと思った男は、しかし何故か動こうとせず、その赤い瞳をまっすぐ俺へと向けて。 「……なぁ、その前に一つ確認しときてーんだけど。お前、ほんとは上がいいの?下がいいの?」 「は?何だそりゃ、体位の話か?別に、正常位だろうと騎乗位だろうとどっちでも」 「ちげぇわああああっ!おま、さっきから人が我慢してりゃ、ニュートラルな表情でさらっと爆弾発言かますのやめてくんない!?っそうじゃなくて!抱くのと抱かれんのどっちがいいんだって聞いてんだよ!」 「……は?」 突然テンション上がった男の言っている意味が理解出来ず、俺は文字通り目を点にして間の抜けた声を上げた。 なんだ?今こいつは、何といった? 抱くのと抱かれるの、どっちがいい、だと……? なんだそれ。何言ってんだこいつ。 だって、おかしいだろうそれ。 こいつは俺を、抱きたいだけで。だから好きだと言った、ただそれだけのことで。 それだけのことの、はずで。 「……お前、もしかして野郎に掘られる趣味が」 「っねぇよ!銀さん後ろは超バージンだよそして一生貞操守りきるつもり満々だったよ!そりゃ突っ込まれるより突っ込む方希望だよ!ぶっちゃけ掘られるとかマジ怖ぇマジで無理!」 だけど。 「けどっ…仕方ねぇだろ、てめぇも俺も男同士なんだから、そこはイーブンでいかねぇとフェアじゃねぇし。付き合ってんのに、突っ込むのは良くて突っ込まれるのは嫌とか、筋通らねーだろなんか。……あ、でも、せめて交代制な?あと、銀さんマジで初めてだから、優しくしてね?」 本気で若干青ざめながらも、へらりと緩く笑った男が、やおら一つ息を吐き。 そうして、わずかな沈黙の後、なぁ土方?と囁きかけた。 頑是ない子供に言い聞かせるように。 「なんか、どうもしっかり伝わってねーみてぇだからもっかい言うけど、俺はお前が好きなんだよ。つまり、俺はお前を抱きたいんじゃなくて、お前と抱き合いたいの」 アーユーアンダスタン?と、冗談めかした片言英語を操った男が、上に跨がっている俺の腰をぐいと引き寄せ抱き締めた、瞬間。 俺の左胸がドクリと跳ねて、全身がかあっと熱くなった。 ……は!?なんだこれ!なんだこれ!! 「土方好きだよ、すげー好き。お前がちゃんと信じてくれるまで、何度だって言ってやる。だから俺を、お前の矜持踏みにじったそんな連中と一緒にしないで」 「な、な、なにいっ…!?や、やめっ…!」 「やめねぇ。お前に届くまで、何度だって言ってやる。お前が好きだ。好きだよ、好き」 「い、うな!やめろっ!」 熱い。好きだとこいつが告げる度、心の臓が馬鹿みたいに脈打って、顔が、身体が、触れられているところが熱くて堪らない。頭に血が上って、ぐるぐると世界が回る。 何でだ。何で急にこうなった。 そんな言葉、さっきまでなんの意味も持たなかったはずなのに。何とも感じないはずだったのに。なのに。 「好きだよ土方。愛してる」 なのに、どうしてこの馬鹿な戯れ言を、下らないと切り捨てられない。どうしてこの身体は、ガチガチに硬直して動かない。どうして、そんなわけのわからないものが心の奥へと染みてゆく。 どうして。 「……土方?」 俯いたまま微動だにしない俺の反応を伺うように、男が頬へ手を添え、顔を上げさせる。すれば、息が触れ合うほど近くで見つめあった赤い瞳が、一瞬驚いたように見開かれて、そして。 「届いた?」 多分真っ赤になっているだろう俺の顔を見つめたまま、子供のように嬉しそうに破顔し笑ったその笑顔に、俺は。 オトされた。 --------------- 原作読んだことなくてすみません。 だらだら一人称練習でした。 PR COMMENTS無題もうマジお二人ヤバいです。 土方さんあんたっ…! 銀さんあんたっ…! もう早く結婚しちまえよおおおお!!! COMMENT FORM TRACKBACKSTRACKBACK URL |
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