MEMOMEMO短文散文とかうっかり萌えた別ジャンルとか管理人の電波とかをひっそりこっそり。 [PR]× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 拝啓、天邪鬼より愛を込めて鴨プチオンリーのコピー本に寄稿した鴨SSというか、捏造鷹久お兄ちゃんSS。 CP要素はありません。 ------------------------------ 全く、ここは山猿の住処みたいなところだよ。武士としての品格や学識など、まるでない。最も、武州の田舎から出てきた農民やゴロツキの集まりなのだから、そんなものを求める方が間違っているのだろうけどね。誘いを受けたこと、早くも後悔し始めているよ。 まず第一に、とても煩い。朝から晩まで、絶えず誰かの騒ぐ声がして、本もゆっくり読めやしないんだ。 仕方ないので素振りでもしようかと道場へ出てみれば、僕を学だけの人間と侮った連中が挑んできた。面倒なので片端から伸してやったら、大人しくなるどころか稽古をつけてくれと更に絡まれるようになってしまった。普通、あそこまで徹底的に実力の違いを思い知らされれば、矜持が邪魔をして教えなど乞えないだろうに、頭が足りないのだろうか。打ち据えても打ち据えても向かってくるのだから、全く持って鬱陶しい。 まぁ、いずれ再び京へ赴くことになっているから、もう暫くの辛抱だ。向こうでせいぜい僕の手腕を発揮して、地盤固めをさせて頂こう。どうにも気に入らない男がいるのでね。彼より僕の方が優秀だと、隊内に知らしめてやらなくては。 暫くは慌しいかもしれないが、落ち着いたらまた文を出すよ。その頃には、京も桜の季節だろう。暖かくなって花が咲いたら、君も一度訪れるといい。本当に見事なものだよ。 母上はあまり良い顔をしないかもしれないが、今は君が当主なのだから、いつまでも縛られることはない。 とはいえ、まだ暫くは寒い日が続くようだ。鎌倉は江戸より更に気温が低いというから、身体にはくれぐれも気をつけたまえ。 それでは、また。 鴨太郎 ----------------------------- 「副長、お見えになりました」 閉めた障子の向こうからふいに寄越されたその台詞に、土方は愛刀を手入れしていた腕をぴたりと止めた。 本日、この屯所を訪れるべく予定が入っている『客人』はただ一人。 一度も会ったことはないが、その容姿だけは鮮明に予想できる相手を思い、土方は鈍い嘆息を吐いて打粉を畳へ置いた。 すぐに行く、と返し、刀身に塗った油を布で一拭いして鞘へと戻し立ち上がる。書斎机に置いていたスカーフを慣れた動作で襟元へ巻き、壁に掛けていた上着をバサリと羽織って刀を携え、『真選組副長』としての体裁を全て整えてから、土方は一瞬の間の後、それを振り切るように障子を開けた。 時刻はまだ昼というより朝に近い。暦の上では春なのだろうが、如月半ばといえばまだ雪がちらつくこともある。 高く澄んだ空の色は、鮮やかな蒼穹色に染まっているものの、吐く息は白く、きんと冷えた空気が頬を刺した。それでも、庭に植えられた早咲きの寒梅や紅椿の蕾が幾つか鮮やかに綻んでいる辺り、緩やかだがしかし確実に季節は移ろいつつあるのだろう。 「……副長?あの、先方がもう……」 障子を開けたまま動かない上司に向かい、廊下で片膝をついていた部下が伺うように声をかけるのに、土方は綻んだ椿の花を眺めたままああ、と気のない相槌を打った。 「やっぱり似てたか?あの野郎に」 お前、会ったんだから分かるだろうと、ふと思いついて問いかければ、立ち上がった部下ははい、ともはあ、ともつかない生返事を曖昧な表情に乗せながら頬を掻いた。 「そりゃ、似てると言えば勿論似てますよ、外見は。流石に初めはちょっとびっくりしましたし。けど、全然違います。俺でなくても、ウチの人間なら誰だって見分けつくと思いますよ?」 「……そうか」 まぁ、人間というものは氏より育ちというし、性格も大分違うようだから、そんなものかもしれない、と。 部下の言葉に安堵とも落胆ともつかない真白い溜息を吐きながら、土方は招かれざる客の待つ場所へ向かうべく、踵を返した。 殉職した弟の持ち物で、そちらへ置き忘れてしまったものがある。大切なものなので、どうしても引き取りに伺いたい。 そのような趣旨の文が局長である近藤宛に届いたのは今からおよそ一月前、年が明けてすぐの頃。 携帯という文明の利器が発達したことなど知らぬかのような、武家作法に乗っ取った非の打ち所のない達筆で記されていたその内容と、何より差出人の名を見た瞬間、近藤は勿論土方も思わず息を呑んだ。 伊東鷹久。それは、土方の記憶に間違いなければ、半年前自らの手によって粛清した元真選組参謀伊東鴨太郎の、双子の兄の名だった。 「……今更、何の用だってんだかな」 胃の腑に蟠るえもいわれぬ感情を誤魔化すように、客間に続く廊下を歩きながら一人ごちる。 真選組を壊滅させかねなかったあの事件は、表向き高杉一派によるテロとして処理されており、死んだ隊士は粛清された者も全て含めて、殉職者扱いとなっている。 それは首謀者たる伊東も例外ではなく、故に彼の実家には、攘夷浪士との交戦により死亡したと伝えられた。つまり、名目上は名誉の戦死だ。 だが、それを知らされた伊東の母親は、既に出奔した息子だからと実家での葬儀を拒否し、屯所での合同葬儀にすら足を運ぼうとはしなかった。そしてやむを得ず、近藤と土方が荼毘にふされた伊東の遺骨を携え鎌倉の実家を訪れたときにさえ、酷く冷たい眼差しで息子だったモノを一瞥し、言い放ったのだ。こんな農民上がりのごろつき集団に身を窶した挙句、反逆人に斬られて死ぬなど家の恥だと。 あのときの眼差しと言葉を思い出すだけで、今でも腹の底に氷を詰め込まれたような感覚が蘇る。 同情するわけでは決して無い。血が繋がっているからといって、必ずしも愛情で結ばれているわけではないことぐらい、十二分に分かっている。かくいう自分とて、口減らしで奉公に出されて以来親とは一度も会っていないし、大した愛情を受けたとも思わない。 だから、『家』というものを何より重視する武家において、穀潰しに過ぎない次男を疎んじる親に対し、見境の無い正義感で非難するつもりなどないし、『由緒正しい血統』の連中に口さがない謗りを受けようと、今更どう思うこともなかった。ただ。 ただ、余りにも小さな姿になったかつての好敵手を、反目しながらも最後には認め合った『仲間』を、こんな冷たい場所に置いていかなければならないことが悔しかった。いっそ身内などいなければ、屯所近くの墓地に葬り、折につけ酒でも持って足を運ぶことも出来ただろうに。 そんな割り切れぬ感情に、爪が掌に食い込むほど拳を握り締め屋敷を後にしたのは、もう半年も前のことで。その際、屯所に残してあった伊東の遺品も、全て引き渡したはずだ。 今更返せといわれても、渡せるものなど何も無いし、遺品に触れようともしなかった母親の姿を思い出せば、その申し出自体筋違いも甚だしいと思われた。 だが、何もないと何度書状で返答しても、とにかく一度目通りをという文が寄越されるばかりで、頑として譲られず。 結局、局長である近藤が折れる形で本日の面会と相成ったが、最後まで反対していた土方が乗り気になれるはずもなかった。 (大体、近藤さんは人が良すぎなんだ。万一その兄貴とやらが、弟の仇討ちするつもりだったらどうすんだ) 土方が伊東を手に掛けた事実を、鷹久が知るはずもないが、殉職した隊士の身内には、攘夷浪士ではなく土方や近藤を人殺しと責める者も少なからず存在する。 無論、屯所へ入る際にボディチェックは済ませているはずだが、それでも万一ということがあるだろうと、内心舌を打ったとき、廊下境の客間まで辿り着いていた。 障子の向こうに、確かに人の気配を感じ、思わずぴくりと肩が跳ねる。 それが、己の恐怯の証に思えて、土方は殊更乱暴にその戸を開いた。パアン、と竹を割るような音が辺りに響いて。 「お、トシ。やっと来たか」 「っ……!」 遅かったな、と屈託なく笑いながら手招く上司の正面に正座している男と目が合った瞬間、土方は知らず小さく息を呑んでいた。 「……伊、東…」 双子だとは聞いていた。だから、似ていることは分かっていた。 しかし、いざこうして合間見えると、本当に伊東の生き写しだった。 違いといえば、文人らしい淡い枯れ草色の打ち掛けを羽織っていること、眼鏡をかけていないこと、腰辺りまで伸ばした後ろ髪を、うなじで一つに纏めていることぐらいだろうか。 まるで彼岸から蘇ったかのようなその姿に、記憶の中のあの男が重なって、思わず障子を掴む指に力がこもり。 「副長殿、で御座いますか?」 しかし、ふいに口を開いた男のその一言に、土方は金縛りから醒めたかのようにはっと目を見開いた。 その視線の先で、男が柔らかな笑みを浮かべ軽く会釈をしてみせる。 「お初に目に掛かります、伊藤鴨太郎が兄、鷹久と申します」 「あ……」 ―――…違う。この男は『伊東』じゃない。 山崎の言った通り、確かに外見はあの男と瓜二つだ。鶯色の瞳も、癖のある山吹の髪も、話す声音も、全く同じ。 だが、それだけだ。今目の前にいるのは、全てが同じだけの、しかし全く違う人間だった。 当たり前だ。あの男はもうこの世にはいないのだから。 「……ト、トシ?いつまでそこに立ってるんだ?」 失礼だろう、と、双方を伺うようにためすつがめつしながら取り繕った上司の呼びかけに、土方は詰めていた息を静かに吐いて足を一歩踏み出した。 話を受けたとはいえ、男の来訪に戸惑っていたのは近藤も同じことだ。自分がぐずぐずしている間、場を取り仕切ってくれていた上司にこれ以上負担をかけるわけにもいかず、土方は近藤の右隣にどっかと胡坐を掻き、男を一瞥しておもむろに口を開いた。 「副長職を預かる土方十四郎だ。お待たせして申し訳ない、少々仕事が立て込んでいてな」 「お、おい、トシ…!?」 明らかに嘘だと分かる内容と(此処最近、江戸ではこれといった事件は起きていない)、敬語すら使おうとせず不機嫌を隠そうともしないその口調に、近藤が慌てたように小声で諌めるのにも、しかし土方は目線一つで黙殺した。 あの母親のようにあからさまな敵意は感じられないが、しかし元より話を長引かせるつもりはない。 「鎌倉から遠路遥々ご足労頂いたとのこと、痛み入る。が、先だって伝えた通り、伊東参謀の私品は筆一本たりとも残っちゃいねぇ。以前そちらへ遺骨を届けた折、引き渡したもので全てだ」 暗に、あのとき同席していなかったお前が把握していないだけなのではないのかという意を込めて突き付ければ、言葉に含まれた悪意に気付いたらしい男が、苦笑して目を伏せた。 「その節は、大変ご無礼を致しました。季節の変わり目故、元より病んでおります肺を少々をこじらせ、当主だというのに立会いもままならず……。母の無礼な言動、どうかお許しくださいませ。五年前に父が身罷り、家督を継いだ私は依然身体が弱く、母は一人家を守ろうと、あのように頑なな態度でしか人と接せられぬのです」 「だったら尚のこと、さっさと戻った方がいい。まだ春は遠い上、この通り江戸は空気も悪い。母上様もさぞ気を揉んでることだろう」 穏やかなその物言いに、言い様のない苛立ちを覚え、知らず懐から煙草を取り出す。だが、慣れた動作で一本咥えかけたところで、それが目の前の男にとって毒でしかないのだと思い出し、仕方なく手の中でぐしゃりと潰した。 「いい加減にしねぇかトシ!この方は伊東先生の兄上だぞ!?わざわざ訪ねて下さったのを、そんな風に」 「アンタは黙っててくれ近藤さん。鷹久さんとやら、この際だからはっきり言っておくがな。俺達は幕府直轄の対テロ武装警察だ。てめぇの意思で入隊した時点で、国の為に死ぬ覚悟は出来てるっつーことになる。殉職したからといって、俺達がアンタら遺族に頭下げる理由も、負い目を感じる謂れもねぇんだよ。古くは将軍家にも仕えたらしい、由緒ある武家の当主ということで、特別に申し出を受けはしたが、アンタのやってることは筋違いも甚だしいぜ」 身の内に抑えていたえもいわれぬ苛立ちがふつふつと煮え始め、次第に語気が荒くなる。 この男は、伊東じゃない。どれだけ同じ姿形をしていても、その器に入った魂は別人だ。自分の認めた、あの男じゃない。 あいつは、こんな風に穏やかに笑ったりしなかった。母親のことを、大切そうに話したりしなかった。眼鏡越しに周囲を見据える鶯色の双眸に、敵意と野心と孤独と寂静を湛えた男だった。愛し方も愛され方も知らない男だった。 こいつじゃない。どれだけ似てても、この男はあいつじゃない。 「分かったら、さっさとお引取り頂けるか?俺も局長も暇じゃねぇ。一隊士の身内のイチャモンに、いちいち付き合ってなんざ」 「トシッ!」 いよいよもって鍍金がはがれそうになった瞬間、流石に聞き捨てならなくなったのか、隣の上司が声を荒げた。 「いい加減にしねぇか、鷹久殿の話もろくに聞かず一方的にまくしたてて!無礼にも程があるだろう!」 「アンタこそ、感情論でばっか物言ってんじゃねぇ!いくら顔が同じだろうとこいつは別人だぞ!?一般人を屯所へ招きいれた挙句、アンタと俺が雁首揃えて応対してるこの状況を他の連中が見たらどう思うか、軽い頭でちったあ考えろ!」 「ちょっ、ちょっとっ!?何やってんですかアンタらぁぁぁっ!!」 部屋の外で様子を伺っていたのだろう。突然始まった上司二人の怒鳴り合いに、泡を食って飛び込んできた地味な部下を、うるせぇと反射的に殴り飛ばそうとして。 「――――…っふ」 しかしそれは、ふいに耳へと届いた、酷く場違いな小さい笑声によって、すんでのところで押し止められた。 『……あ?』 思わず一瞬状況も忘れ、声をハモらせた三人の視線が集中した先には、口元に右手を当てて、くつくつと可笑しげに肩を震わせる男の姿があって。 「ああ、申し訳ありません」 ですが、余りにも聞いてきたとおりでしたのでつい、と、文人らしい柔らかな笑みに顔を綻ばせながら告げられたその台詞に、三人は一様に目を丸くして瞬いた。 江戸の町においては(主に悪い意味で)何かと顔が売れているが、まさかそれが遠く鎌倉にまで届いていたのだろうかと、苦虫を噛み潰したような表情で押し黙った土方に向かい、しかし男は視線だけでそうではないと否定する。 そうして、酷く懐かしいものを眺めるような眼差しで、鶯色の双眸を眇めながら口を開いた。 「気が短くて、上司部下関わらずすぐに声を荒げる無頼者。剣の腕と指揮能力は確かだが、チンピラ上がりで品が無い。あと味覚センスが致命的。ただし、根本的にはお人好しで詰めが甘く、いつも憎まれ役の貧乏籤を引いている」 「……は?」 余りにも脈絡なく、さらりと告げられたせいで、それが自分のことだと理解するのに数秒の時を要して硬直する。何だ、今このやたらと品のいい男の口から、随分と辛辣な単語が飛び出さなかっただろうか。 その間にも、男は土方を止めようとしていた山崎へ視線を移し。 「貴方は、土方殿の側近で監察方筆頭の山崎殿、ですね?潜入捜査の能力と洞察力の鋭さに関しては、本業の忍にも引けを取られないとか。ただ、目を離すとすぐ南蛮の球技に興じて土方殿を怒らせているようですが」 「は、はいっ!?」 まさかここで自分の名が挙がるとは思いもしなかったのだろう。一重の瞼を限界まで見開き素っ頓狂な声を上げた山崎に、やはり穏やかな笑顔を向け、男はそのまま残る一人へと眼差しを向けた。 「そして貴方は、情に厚い昔気質の熱血漢。その豪胆かつ鷹揚な性格で荒くれ達の人望を集めているが、幕臣としての器に足るとは思えぬ、腹芸の出来ない片田舎の道場主」 その台詞を聞いた瞬間、土方は考えるより早く右側に置いていた刀を掴んで鞘から引き抜き、立ち上がり様男の眼前へその切っ先を突き付けていた。 「ト、トシやめろっ!」 「駄目です副長!」 一拍の間を置いて、事態を理解した上司と部下が声を上げるのにも、土方はすう、とその眦をすがめ、かつての仲間によく似た男をねめつけた。 何故突然、男がそんなことを口にしたのかなど知る由もない。だが、今自分の上司を、信ずると決めた男を侮辱されたのだということだけは理解できた。それだけで、土方にとっては十分だった。 「……随分と、面白ぇこと抜かしてくれんじゃねぇか、ああ?近藤さんに大将としての器がねぇだと?毎日ろくに仕事もせずストーカーに勤しむゴリラ野郎だと?」 「ちょっ、トシ落ち着こう!落ち着いて、ね!?っていうか、それ後半鷹久殿の台詞じゃないよね!?」 「ふ、副長抑えてください!今どんな顔してるか分かってます!?完全に悪役ですよこの状況!!」 傍らの二人が泡を食って腕や腰を押さえようとしているのにも、土方の切っ先は揺るがない。だが、その白刃の先で怯えてみせるかと思った男は、しかし穏やかな表情を崩すことなく、土方を見上げていた。 「申し訳ありません。大変無礼とは存じましたが……ただ、本当にあの子の手紙にあった通りだと思いましたら、つい嬉しさを抑えられず」 「……あ?」 眼前に刀を突き付けられているとは到底思えぬ柔らかな口調で寄越されたその台詞に、土方の眉根が訝しげに寄せられる。 あの子、というのは、まさか。 「ええ、鴨太郎ですよ」 私の最愛の弟です、と男が告げる。懐かしむように、愛おしむように、その名を紡ぐ。 「斯様に病弱な身なれど、伊東家の跡取りが私ということは変わることなく、次男であったあの子は、父がなくなった五年前に家を出ました。母はあの通りの人ですから、きっと居場所がなかったのでしょう。私はそれを止めることも出来ずただ見送って……以来、時折届く文だけが、あの子の消息と近況を知る唯一の術となりました」 生まれ出でたほんの些細な順によって、まるで違う人生を歩むことになりはしたが、この世で唯一の己の半身。母の愛を、頑健な身体を、己にないものを妬まなかったと言えば嘘になる。けれども憎めるはずがなく、血の通わぬ閉ざされた冷たい家で、寄り添うように生きてきた。どれだけ離れても、愛おしい気持ちは変わらなかった。 「兄の私が申すのも何ですが、文武両道に秀でた子でしたから、京において随分と名高い学問所や道場で師範にと請われ、食客をしていたようです。…最も、余り一つどころに留まることはなかったようですが」 それは知っている。そうして幾つかの道場を渡り歩いているときに、たまたま人材募集で京を訪れていた近藤と出会ったのがそもそもの縁なのだから。 「このような身で、家に縛られていた私にとって、折につけあの子から届く文だけが、代わり映え内日々を鮮やかに色づけてくれる唯一の慰めでした。京の美しい景色や珍しい楽、そして自らの近況を綴った文を読むのが楽しみで。まるで私もあの子と共に旅をしているような、束の間の夢を見ることが出来ました。嬉しかった、とても。けれど、一向に友垣一人の名も出て来ぬそれに、一抹の寂しさを感じてもおりました」 しかし、遠く離れた地でただ待つしか出来ない自分に何かが出来るはずもなく、二年が経った頃だった。 「あるとき突然、あの子の文に『人』が綴られていましてね」 それは驚いたものです、と。男は、鶯色の瞳を膝立ちで土方の袖を掴んだまま話に聞き入っていた近藤へと向け、諳んじているらしいその文面をゆっくりと読み上げた。 真選組局長、近藤勲という男から勧誘を受けた。何でも、参謀役兼幕府との調整役として僕の知識を買いたいらしい。そんな組織など聞いたこともなかったが、最近江戸に出来た幕府直轄の武装警察だそうだ。農民が武士になるなど全く世も末だと嘆かわしく思うが、しかしそれなりの権限はあるようだし、古い柵に縛られていないのも悪くない。上辺と形式ばかり取り繕い、矜持に凝り固まったこちらの連中を相手にするのもいい加減飽きてきたところだ。彼の愚直なまでの朴訥さというのも中々に新鮮だったのでね。とりあえず、受けてみることにしたよ。 皮肉げな口調そのままの『文』の内容に、土方の額にぴきりと一本青筋が浮かぶのを見やり、男は苦笑混じりにすみません、と眉根を下げた。 「何分、天邪鬼な子でしたから。どうしてもそういう物言いしか出来ぬのです」 ですがきっと、嬉しかったのでしょうと男が笑う。詠うように、流れるように、過ぎ去った時の記憶を辿るように。 「それ以降、寄越される文は随分と賑わしくなりました。将軍がおわし、天人の多く住まう江戸での日々は、京とは比ぶるべくもないほど目まぐるしく、騒がしく。そして、あの子しかいなかった世界に、次々と人が増えていきました」 江戸の屯所に着いてまず、副長だという男と会ったのだが、一目視線を交わした瞬間、反りが合わないと直感したよ。参謀という地位は名目上彼と同格らしいが、正直少々目障りだ。土方十四郎と言うらしいが、最後の一文字が僕と同じなのも気に入らない。いずれ必ず、追い落としてやろう。 切り込み隊長は随分幼くて驚いた。どうやら彼も道場時代の身内らしい。てっきり下らない贔屓のお飾りかと思っていたが、それは僕の間違いだった。自分より体格も年齢も一回り以上違う男を片端から打ち据えていく様は、かの牛若丸を彷彿とさせられたよ。最も、腹の中身と性格も大人顔負けの黒さのようだがね。敵に回すと面倒だが、土方君を目の敵にしているようだから、その辺りを上手くついて是非とも味方に引き込みたいものだ。 時々庭でおかしな球技に打ち込んでいる青年は、監察方らしい。そういえば随分地味で特徴が無い。だが、朴訥を装った視線の奥で、時折僕のことを探るように見ている眼光の鋭さはそれなりに気に入っている。思ったより上司に対する忠誠心を持ち合わせているらしいのが残念だ。 「昨夜は僕の歓迎会と称した宴席があった。元々煩い連中だが、酒が入ると手に負えないことが良く分かった。脱ぐわ騒ぐは銃火器を持ち出すわ勝手にベタベタ触ってくるわで散々だったよ、実に忌々しい。数日後、僕を学だけと侮って手合わせ願ってきた相手に、稽古で少々本気を出したら、打ち負かした連中に指南を請われるようになった。暑苦しいのが次から次へと寄ってきて、全く迷惑極まりない。僕は本来参謀役だというのに、何故半日以上道場でむさい連中相手に汗を流さなければならないんだ」 それまでと違い、八割方不満と文句で埋め尽くされたそれは、しかし今まで送られてきたどんな文より生き生きと色づいていた。それが嬉しくて堪らなかった。 「だから、ですかね。どうしても皆さんのことを初対面とは思わず、つい不躾なことを申しました」 お許しください、と軽く頭を垂れる男の姿に、土方はち、と舌を打って突きつけていた刀を下ろし鞘へと収めた。 あの野郎、身内とはいえ部外者に何べらべら喋ってやがると思うのにも、何故だか毒気が抜かれたかのように、先刻までの胃の腑が灼けるような感覚が沸いてこない。 おそらく、その文を書いていた頃は、まだ高杉一派と接触してはいなかったのだろう。 気に食わないと反発しながらも、確かに同じものを見ていたあの頃、正面からぶつかり戦い認め合っていたならば、何かが変わっていただろうかと、知らず鞘を持つ手に力を込めたとき、ふと眼前の男が、部屋の外へと首をめぐらせた。 つられるようにそちらへ視線を向ければ、山崎が飛び込んで来た際開け放っていた障子の合間から、廊下向こうの中庭が伺える。ここにも椿が植えられているが、日当たりが良いせいか、副長室の前にあったそれよりは遥かに多くの花で彩られていた。 「とても見事な庭ですね。茶の湯の詫び寂びにも通ずるような、趣ある佇まい。あの椿が満開になれば、それは美しいものなのだと、あの子も褒めておりましたよ。勿論、捻くれてはおりましたが」 朝議からの帰り、何を思ったか庭を散策しようと局長殿が言い出した。廊下を歩けばいいのに、椿が満開で綺麗だからと強引に連れ出されてしまってね。風流を解す情緒など持ち合わせていないだろうに、全く……。 案の定、雨上がりのせいで裾は汚れるし、そここに花弁が纏わりつくしで散々だった。しかも、頭についた花弁を勝手に取った挙句、あの男何と言ったと思う?『簪みたいでとてもお似合いですね』と。言うにこと欠いてこの僕にだよ。あの男、少し目が可笑しいんじゃないだろうか。 おかげで、沖田君にはここぞとばかり揶揄れ、土方君には失笑され……ああ、思い出すだけで腹立たしい。 ああ全く、腹立たしいね。 言われて、そんなことあっただろうかと記憶を辿る。すれば確かに、椿が満開に咲き誇る雨上がりのある晴れた午後、五人であの中庭を歩いた記憶が蘇ってきた。 はらりと舞った紅色の花弁が、山吹の猫毛に絡まって。それを近藤が笑いながら手を伸ばしひょいと摘んで、よく似合うと屈託なく言ってみせるのに、何故それを惚れた女に出来ないものかと呆れたことも。 それは確か、二年前の立春の頃。 「それから幾らもしない内、再び京へ戻ったという文が届きました。初めの頃は、たまにはこちらへ出てくればいいと誘われもしましたが、母の手前やはり家を空けられず。あの子も……何かと、忙しくなったのでしょう。文の届く間隔が次第に長くなり、貴殿方のことも書かれなくなり。どうしたのかと案じていた矢先でした。近藤殿から、訃報を知らせて頂いたのは」 「鷹久、殿……」 それまで黙していた近藤が、その言葉に何かを堪えるような声音で応えを返す。だが、男の表情は、とてもほんの半年前に最愛の弟をなくした人間のそれとは思えないほど凪いでいて。 「ああ、どうかそのようなお顔をなされないで下さい。無論、弟を亡くしたことが悲しくないと言えば嘘になりますが、貴殿方には本当に感謝しているのです。幼い頃、同窓の子供たちに苛められ、泥だらけになって帰ってきたあの子の頭についた木の葉や土埃を払いながら慰めるのは私の役目でした。ですがそれも、母に見つかり汚ならしいと罵倒されてからは、出来なくなってしまって……」 明らかに殴られたとおぼしき怪我を負い、泣いていた弟を、母は手を差しのべ抱き締めるのではなく突き飛ばして障子を閉めた。以来あの子は、自分にさえそんな姿を見せなくなった。自分は、弟を守れなかった。 「だから、私は嬉しかった。何の衒いもなく手を伸ばしてくれる、貴方のような方とあの子が巡り会えて。温かい人の手を、感じることが出来て」 男がそう呟いた途端、ざあ、と風が吹き、綻んだばかりの花弁が数枚、ひらひらと宙に舞った。 「おや、あの子が怒っているのでしょうか」 少々余計なことを喋りすぎたかと、肩を竦めて苦笑する。 朝露を浴びて輝く日差しの中、一瞬あの男の幻影を見た気がして―――…しかし土方は、緩やかな嘆息とともにそれを否定した。 「……いねぇよ」 「土方殿?」 「あいつはもう、ここにゃあいねぇ。死して尚化けて出ることなかれってのが、ウチの局中法度だからな。ここにはもう、アンタの弟はいやしねぇんだよ」 近藤に、鷹久に、そして自分自身に言い聞かせるように、土方はそう告げた。 そう、いない。あの男はもういない。もしかしたらあったかもしれない未来は、自分の、そしてあの男自身の手によって断ち切られ、指の間からすり抜けていった。だから、 「だからここには、あいつの残したもんなんざもう本当に何一つありゃしねぇんだ。俺らの中の、記憶以外には何も、な。アンタには悪いが……頼むからもう、帰ってくれねぇか」 これ以上、未熟なこの心がかき乱される前に。自ら定めた掟に悖る愚かなことを、弱い心が望んでしまうその前に。 しん、と、水を打ったような沈黙が落ちる。室内から音が消えたからだろう、道場で稽古に励む隊士たちの声や竹刀を打ち合う音が、風に乗って遠く届いて。 「……そのよう、ですね」 長いとも、短いともつかない沈黙を破ったのは、その視線を庭の椿から土方へと戻した男だった。 「天の邪鬼でひねくれたあの子のこと、貴殿方のことを好きだとも気づけぬまま、それを伝える術も知らぬまま一人孤独に逝ったのではないかと案じておりましたが、どうやら私の早合点だったようです」 「あ……?」 一瞬、何を言われたのか分からなくて、我ながら間の抜けた声が部屋に落ちる。 自分を見上げる男の双眸には、さぞ呆けた表情が映っているのだろうと思うのにも、何故だかそれを取り繕えず立ちすくむ土方と、そして近藤に向かい、男は畳に手をついて深々と頭を下げた。 「弟が皆様におかけしたご迷惑、兄として、伊東家当主として心より深謝致します。止めるべきと分かっていながら、私はとうとう、あの子を諌めませんでした。ようやく武士として一人の男としての生き様を見つけたのなら、それを奪いたくなかった。幼い頃から、母の顔色ばかりを伺い一度も守ってやれなかった情けないこの兄に、今更何を言う権利があるのかと思いました」 勝手な話だ。どこまでもエゴに塗れた、酷い話だ。けれど。 「それでも、貴殿方はあの子のことを今も仲間だと言って下さる。私の姿をあの子に重ね、しかしあの子ではないことに苛立ち、悲しんで下さっている。兄として、これ以上有難く幸せなことはありません」 「……鷹久、殿……?まさか……」 半ば呆然と呟き消えた近藤の言葉の先は、土方にも容易に想像がついた。 まさか、知っているのか、この男は。自分の弟が、何故鬼籍の住人となったのか、誰が彼岸へ送ったのか、その本当の理由を。 幾ら身内とはいえ、あの男がそう易々と謀反の企みを漏らすとは考え難いが、ここまで詳しい文を出しているのだ。絶対とは言い切れない。 ドクリと心の臓が跳ね、暑いはずがないのに、鞘を握った掌に汗が滲む。 あの一件は、テロとして処理をした。否、テロでなくてはならない。 万一真実が露見すれば、それを幕府内の敵対勢力やマスコミに嗅ぎ付けられようものなら、よくて局長更迭、下手をすれば切腹の上真選組自体が取り潰されかねない。それだけの被害を出した。 もし、この男の口から決定的な一言が紡がれたなら、そのときは自分が。 自分、が。 ドクドクドクと、いよいよ鼓動が早くなり、鼓膜の中で耳鳴りがする。男がゆっくり顔を上げるのに、全身の血液が足元から流れ出していくような感覚に襲われて。 だが、男はそんな土方の内心などまるで知らぬ風に、鶯色の双眸を穏やかに眇めて笑った。 「初めて母に逆らってでも、今日ここを訪れることが出来てよかった。あの子が最後に、心通わせ信ずる仲間を見つけられたのだと分かってよかった。何も思い残すことなく幸せに逝けたのだと、知れてよかった」 有難う御座いました、と告げた男が、足を引いて立ち上がる。一瞬、力を込め過ぎて骨の浮き出た土方の右手にその視線が向けられたのを確かに感じたが、それでも男の態度は何一つ変わらなかった。 「これでようやく、あの子の死を受け入れられる気がします。これからは私もあの子に恥じぬよう、母の為ではなく己の為、当主としての務めを果たし―――…あの子との思い出を『一生胸に秘め』、位牌を供養しながら生きてゆきとう御座います」 「お、ま……」 初めて同じ目線になった男が、穏やかな笑みを土方に向ける。その瞳は、土方が手にした刀を自分に振るうことは絶対にないと、信じ切っているようで。 「さようなら、最後まであの子を仲間でいさせてくれた局長殿。さようなら、あの子を友としてくれた、優しい鬼の副長殿」 どうかいつまでもご健勝で、と優しく眇められた表情は、やはり武士というより文人そのもので、到底あの男には似ていないはずなのに。 何故だか酷く懐かしくて、少しだけ、泣きたくなった。 ------------------------------------------- 車のエンジン音が遠ざかっていくのを、聞くともなしに聞きながら、土方は一人廊下の柱に右肩を預けるようにして縁側へ佇み、さわさわと揺れる紅椿を眺めていた。 近藤と山崎は、鷹久を見送りに出て行ったから、ここにはもう自分一人しかいない。 ようやく吸えた煙草の紫煙を、誰に遠慮するでもなくふ、と空へ吐き出せば、それだけで心が凪いでいくようで。 「甘いですねィ土方さん。なんで斬らなかったんですかィ?」 だから、唐突に廊下向こうから現れた部下の姿と台詞にも、土方は別段驚いた風もなく、口元から煙草を外し、ちらと視線で一瞥しただけだった。全てにおいて気が合わないが、近藤大事という一点でだけは意見が一致する栗色の部下のこと、どうせ部屋の外で耳立てていたのだろう。 「……さぁな。大方、てめぇがバズーカぶっぱなさなかったのと似たような理由じゃねぇか?」 その気になりゃ、あいつ一人ぶっ飛ばすことぐらい出来ただろうと揶揄するように水を向けてみれば、沖田はふん、と詰まらなそうに顔を背けた。ポケットに手を突っ込みクチャクチャとガムかなにかを噛んでいる様は、最近の若者そのものだ。さっきの兄貴とは大違いだなと心中でひそりごちる。 最も、自分とて品行方正な『武士』などというには程遠いが。 「ま、確かにお前の言うとおり、甘いといやぁ甘いんだろうが、な」 そうだ、沖田の言うとおり、組の安全を考えるなら、どんな些細な憂慮の芽も摘んでおくべきだっただろう。 いくらそれなりに由緒ある武家の当主とはいえ、屯所で手にかけてしまえば、揉み消すことなど容易な話だ。松平直轄の権力は伊達ではない。 かつて自分は、大将の面子の為だけに屋根の上で一般人に本気で刀を向けた。今更綺麗事を掲げる資格などないことは誰より土方自身がわかっている。 けれど、それでも。 「……あいつを斬ったら、伊東の野郎に二度と顔向けできねぇだろ」 ふう、と再び吐いた紫煙が、冷えた風に浚われ虚空へと溶けて行く。陽光を浴びて輝く椿の花が、さわさわと揺れていて。 「何カッコつけてんでいクソ土方」 「うおわっ!?」 完全無防備になったその瞬間、何の脈絡もなく突然繰り出された沖田の蹴りを背中に食らい、土方は縁側から庭先へと勢いよくダイブした。 「ぐっはっ!?な、何しやがる総悟おおおおおっ!!」 「意味は特にない。あえて言うなら、そこに土方がいたからだ」 「アルピニストオオオオオオッ!?」 剥き出しの土で擦りむいた頬を押さえ、四つん這いで見上げる土方を、沖田は蹴り飛ばした足もそのままに睥睨し、何事もなかったかのようにくるりと背を向け立ち去った。 「っま、待ちゃあがれ総悟!総悟、おいっ、お…!!」 上司がどれだけ呼ぼうが怒鳴ろうが聞こえないと言わんばかりに振り返ることもなく、廊下の突き当たりへ消えた部下の後ろ姿に、ビキリと青筋が浮き上がる。 思いっきり打った顔面はかなり痛いし、煙草は無駄になったし、何よりとんでもなく恥ずかしい。なまじ格好をつけていただけ、余計に。 「……っのクソガキ!!今日という今日は許さねっ―――…あ?」 追い掛けて一発ぶん殴ろうと立ち上がり、隊服についた土埃を乱暴に手で払い足を踏み出そうとしたとき。 ふいに、ふわりと吹いた柔らかい風が髪を撫で、そこに絡まっていたらしい赤い花びらが一枚、目の前にひらひらと舞い落ちた。 まるで、誰かがそっと払ってくれたかのように。 沸騰しかけた頭の血が、すう、と下がる。 「――――…はっ」 俺もヤキが回ったもんだと、土方は足元に落ちたそれを拾い上げ口の端を吊り上げた。 センチメンタルなんて柄じゃない。あいつはもうここにはいない。いてたまるか、幽霊なんて大嫌いだ。 けれど。 「……まぁ、いつか地獄でまた会ったらよ。そんときは、一つ宜しく頼むぜ相棒」 俺とお前が手を組めば、地獄の閻魔も形無しだと呟いて、手にした花びらを指から離す。 すれば、重力に従って落ちるかと思ったそれは、さわりと吹いた風に乗って澄んだ空へと舞い上がった。 君の相棒なんて真っ平御免だと嫌みったらしく返すあの男の声がどこからから聞こえた気がして。 「この、天邪鬼が」 それがあまりにもあの男らしかったので、土方はニヤリと口の端を吊り上げながら花びらの消えた空に向かい中指を一つ立てると、今度こそ部下を追い掛けるべく、踵を返して駆け出した。 ----------------------- いつだったかのカレンダー(?)で見た5人+椿のイラストが凄い好きです。 鷹久さんは某シスコン陰陽師みたいな性格でも萌えると思いました。 PR COMMENTS無題こんばんは。
うっかり読んで、泣きそうになりました。 自分もこのお話みたいに、 ほんの少しでも誰かの隅っこで 思ってもらえたらいいな… それだけで幸せかも。 すごい感動しました。 ありがとうございます。 COMMENT FORM TRACKBACKSTRACKBACK URL |
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